音楽発表会とオトさん

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2学期の行事を、貴彦は知らない。 兄弟もいないし、幼稚園や保育園といった就学前の集団の場の経験もない。 学校での体験は、何もかも初めて尽くしで、貴彦は楽しくて仕方なかった。 こうして2学期の学校生活が始まった。 その中で、2学期の行事のことも話があった。 まずは音楽発表会。 初等科は各学年4クラスある。 発表は、学年全員で行う。 歌が一曲、合奏が一曲。 6年生ともなると、合唱も合奏も凝ってくる。 しかし、1年生はまだ学校の音楽の時間で使う楽器が限られていた。 それでも、この学園に通う子女たちの家庭は、一般のそれよりも裕福で高収入の家が多いせいか、習い事で楽器を演奏できる子も多かった。 女子の大半は、ピアノかバイオリンを。 男子は、ドラムを習っている子もいた。 それ以外にも、様々な楽器を習っている子が何人もいる。 貴彦は、学校の授業で使っている鍵盤ハーモニカ以外は館のオトさんが貴彦のために用意した簡単な打楽器と、同じくオトさんから習っての簡単なピアノ曲くらいなら演奏できた。
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