入学式と菅野

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そう言えば、モトさんと勉強するときも、必ず挨拶させられていたのは、もしかすると小学校に入っても困らないためだったのかもと、貴彦は初めて気が付いた。 もっとも、モトさんの挨拶はこれとは違っていたし、慣れてきたら英語でもさせられた。 「これからは、外国語という授業も出てきます。その授業では、日本語を使わず英語で授業をするんです。」 そんな勉強も学校ではあるんだと、貴彦は素直に受け止めていた。 ヤクさんに分からないところを聞きに行くときは挨拶なんて一度もなかったが。 「今日はこれから学校の中を探検します。お口を閉じて、後ろに二列に並びます。並び方の練習もしますよ。」 名簿の1番から15番までが並び、16番から30番までがその横に並んだ。 身長順など、今ここでやろうとしたら、混乱することだろう。 男女関係なく混ざった名簿で分けたので、貴彦は布川大夢(ぬのかわひろむ)という男の子と手を繋ぐことになった。 貴彦が手を出してもすぐに握ってこなかった大夢は、小柄でもじもじと恥ずかしがるような子だった。
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