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「ここの管理は、先生がいるからどうにかなると思ってんだろうし、学校が始まっちまえばタカは昼間は学校、オーナーが家を留守にすることなんざよくあるし、週末はこっちで過ごす。あんまり間があいてタカが寂しがるなら、菅野あたりが向こうに行きゃあいいんだ。自分の父ちゃんもいるんだしな。」
「そうなるのう。」
そうして、二人はしばし無言になった。
黄嶋の発病、それに伴う治療。
突然のことではあるが、予測できなかったことではない。
それは、ここで暮らしている誰にも当てはまることなのだ。
「俺ぁもうちっとこの病気について調べてくるわ。明日にでも先生に報告すっから。」
「すまんの、ヤクさん。助かる。」
「おう!任せとけ。」
力強く返事をすると、ヤクさんは部屋から出ていった。
一人きりになると、先生は腕組みをし立ったまま壁に寄りかかった。
「縁起でもないことにならねばよいが。あのバカものめ。」
先生は、親友の胸中を慮り、一人愚痴た。
クリスマスイブの夜。
黄嶋からの思いもよらない告白というギフトに、先生とヤクさんの夜は長くなりそうだった。
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