春の気配と貴彦

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3月。 学校の学習内容が、1年間のまとめに入った。 6年生の卒業式の練習が行われるようになり、体育の時間が変更されるようになった。 同時に、1年生にはもう次の役割が回ってきていた。 「皆さんはもうすぐ2年生になります。1年ってあっという間でしたね。」 学級活動の時間に、緑川先生が貴彦たち1組の子に話す。 「4月になると、新しい1年生が入学してきます。皆さんは、自分の入学式のときのことを覚えていますか?」 すぐに竜大が、手を挙げずに大きな声で答える。 「俺、でかい声で返事した!」 そうですね、でも竜大くん、まず手を挙げて先生がお名前を呼んでからお話ですよと、緑川先生がやんわりと注意する。 竜大の言葉に触発されたのか、他の子たちも隣の子や前後の子と話し始め、、教室の中がざわついた。
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