春の気配と貴彦

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「皆さんが2年生に入学のお祝いをしてもらったように、皆さんからも新1年生にお祝いをします。今度はみなさんが新1年生のお兄さんお姉さんになる番ですね。」 お兄さんお姉さんーーなんてドキドキする言葉なんだろう! 貴彦は、なんだか胸の辺りがむず痒くなって、口元が緩んでしまった。 貴彦の兄弟はいない、一人っ子である。 そして、大人に囲まれて育てられたので、年下の子と接したことがない。 貴彦は心の中で、新1年生が入学してきたら、絶対に優しくしてあげよう、一緒に遊んであげようと密かに誓った。 そんな貴彦の決心はともかく、先生の話は続く。 「ただし、4クラス全員というわけにはいきません。 ちょっと人数が多いかな。なので、各学級から10人ずつ出て、新1年生にお祝いと歓迎の出し物を見せたいと思っています。」 内容は、六送会のときのような呼び掛けと歌とダンスになりますと、先生は発表内容を教えてくれた。
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