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「ちくしょー!いいな、大夢!おまえ、出られるじゃん!」
竜大も同じく落選したらしく、悔しそうに机を一度叩いた。
いいなと言われた大夢は、ちっとも嬉しそうじゃなく、むしろ泣きそうになっている。
「ぼ、僕・・貴彦くんが出ないなら・・・出ない・・・無理・・・」
「ええっ!」
「竜大くんに譲る・・・」
「マジか!」
それを聞いて、竜大が勢いよく立ち上がる。
貴彦は、慌てて止めた。
「ま、待ってよ、大夢くん。そんなの、勝手に決めちゃダメだよ。」
「いいんじゃねえの?大夢、嫌なんだろ。じゃ、俺がやる!おまえ、先生に言ってこいよ。」
「せ、先生に・・・」
先生に言う、それもまた大夢にとっては高いハードルだ。
○をつけたけど、やりたくない、竜大に譲りますと先生に訴えるなど、引っ込み思案な大夢は到底言えるものではなかった。
そして、大夢は竜大に譲ると言ったが、本当は僕も出たいのになと貴彦はちょっとだけ面白くなかった。
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