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亜子の理不尽な抗議に、美穂は困った顔をしている。
そもそも、○をつけて出したのは、亜子も美穂の一緒なのだ。
きっと○をつけて出した子が多かったのだろう。
亜子は貴彦と同様、選ばれなかった。
選んだのは先生であって美穂ではない。
だから、いくら美穂に文句を言ってもどうにもならないのに、感情的になっている亜子には通じない。
「もう、美穂ちゃんとは絶交だから!一緒に遊ばない!」
そう言って、亜子は教室から飛び出してしまった。
美穂はその場に立ち尽くしている。
「大丈夫、美穂ちゃん。」
貴彦は、つい声をかけてしまった。
残された美穂が、大夢と重なってしまう。
僕も急に離れたから、きっと大夢くん、困っているよねーー
かと言って、すぐに自分の席に戻るのも躊躇われ、貴彦は美穂の側に来た。
もしかしたら美穂は泣いているんじゃないかと思い、心配になって顔を覗き込んだ。
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