終章:マグノリアと黄嶋と先生

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次はモトさんだったが、順番をコメさんに譲ってきた。 「オーナーからレポート提出期限を決められています。大変申し訳ないのですが、私と変わっていただけないでしょうか。」 コメさんの順番は、オトさんの前、つまり後ろから2番目だった。 交代を申し出られたコメさんは、にこにこと了承しつつ、ちくりと一言。 「もちろん、俺はいいよ。たっくんと一緒に眠れるんだからさ。ただ、俺だってレポートあるんだけどね。そっかー、俺のレポート書く時間への配慮はなしかー、ふーん。」 「い、いえ!そういうわけでは!」 あたふたと釈明するモトさんに、ちょっと意地悪を言ったコメさんも他の住人たちも吹き出した。 完璧主義の傾向があるモトさんが、黄嶋の課したレポート提出にも手を抜くことなく取り組もうとするだろうということは、全員がわかっていた。 だから、モトさんにとっては、貴彦と一緒に寝たい気持ちと、自分の仕事に対する手の抜けなさとの戦いでもあったのだ。 「あはは、ごめんごめん。冗談だよ。」 「わかってください。コメさんのレポートのことをないがしろにしているわけではないのです。」 「いいって、いいって。俺、もう決めてあるし。レポートってほどじゃないけど、簡単にまとめてあるから全然平気。」 コメさんの、既にオーナーに提出する準備が出来ています発言に、モトさんだけでなく他にも焦った住人がいた。
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