終章:マグノリアと黄嶋と先生

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レポート提出日の今日、早々に出したのは前日提出のヤクさんと、メモ程度だからねと念を押すコメさん、執事として何事にも万事優秀マルチタスクな菅野と論文を書き慣れている分有利でしたと満足げに胸を張るモトさん。 やはりシンさんとハナさんは苦戦中。 「そう言えば、オトさんはどうされています?」 菅野の問いに、オトさんの日常生活の面倒をよく見ているモトさんが、大丈夫ですと太鼓判を押した。 「私も意外だったのですが、オトさんはやる気十分で。」 「オトさんが?」 「マジか!」 自分たちと同じように苦しんでいるとばかり思っていたシンさんとハナさんが、驚いた。 「実は私もお二方と同様に、オトさんもかなり困るのではないかと予想していたのですが。」 思いつくまでは非常に悩んでいたオトさんだが、閃いた途端小躍りしそうなほど喜んでいたという。 『これ、僕には有利かもしれないです~』 などと言いながら、結局は五線譜を出して作曲を始めた。 「あのよう、モトさんよう。オトさんがどうやる気を出したかしんねえけど、生活習慣整えねえとタカと一緒に眠れねえってこと、オトさん忘れてんじゃねえの?モトさんから一言言ってやれよ。」 ヤクさんからの指摘に珍しくモトさんがそうですよねえと同意した。 そんな本日は、菅野が貴彦と一緒に眠る番だった。 「私がシンさんを差し置いてたっくんと眠る権利を行使するのは非常に申し訳ないのですが。」 遠慮がちな菅野の背後で、だって二人ともレポート終わってねえからちょうどいいじゃんかよと言って、そういう問題じゃない!と菅野から叱られたのはやっぱりヤクさんだった。
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