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みんながそれぞれ忙しいので、貴彦は先生と一緒に墓参りに行き、それから菅野の仕事のお手伝いをした。
「すみません、たっくん。一緒に掃除をしてもらって。」
「僕、掃除好きだよ!」
そう言いながら、階段の手すりに布を置き、上から下まで駆け下りたり、数段おきにジャンプしたりして、遊びながらの掃除の手伝いをした。
窓拭きも、息を吹きかけて、白く曇ったところに落書きをする。
貴彦にとって、手伝い兼遊びなのだ。
そんな様子を見て、先生は「やはり貴彦がいると、館の中が活性化するわい。」と呟き、黄嶋が「年寄りばっかりだからねえ。年々平均年齢が上がっているし。」と笑いながら返した。
「そりゃあわしらもだろうが。」
「そのうち平均年齢を下げるつもりだからね。」
「・・・・・・なんじゃと?」
ぎょっとして、先生は黄嶋を睨んだ。
親友は、相変わらず何かを企んで、それをぎりぎりまで言わない。
聞いてもはぐらかされるので、先生は自分だけの胸にとどめておいた。
黄嶋の不穏な発言はそれ以上広まることなく、夕食前にハナさんとシンさんはレポートを提出し終えた。
「もう勘弁してくれよ。ヤクさんがいなかったら、俺には無理だったぁ。」
弱音を吐くハナさん。
「俺もコメさんがいなけりゃ、レポート未提出になってました。」
パソコンで打つのではなく、手書きでまとめたせいか、シンさんは凝った肩を回しながらぼやいた。
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