いつもの放課後

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 生徒会室に入った途端奈津実から出て行けと一喝された二人は、扉の前でお仕置き中かの様に並んで立っていた。    デコボココンビを睨み付けながら奈津実は立ち上がり、ゆっくりと机の上にある物を掴む。    まさか、という表情で眉を顰め口を一文字に噤む朔也。  こぼれ落ちそうな瞳をまん丸にしてワクワクが溢れ出す江。  二人に向かって奈津実はくノ一の如くそれを投げつけた。  はさみがヒュン! と風を切って二人の合間を縫い、生徒会室の扉にダンッ! と突き刺さる。 「わぁお!」  江の嬉々とした声を遮る様に次々と飛んでくる文房具。  朔也は冷や汗をかきながら必死で避ける。 「そっ……それはダメだろ!」  朔也の静止も空しく、生徒会長は優美に咲き誇るユリが生けられた陶器の花瓶を思いっきり投げつけた。  それと同時に生徒会室の扉が開く。 「えっ!!」 「先生!」
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