鬼とヒトの子

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はあ…と大きなため息を付けば、ぐん、と何やら首の後ろが重たく感じる。 この様子だとパーカーのフードに溜まった豆を食っている奴でもいるのか。 そう思い服を脱ごうとした時に、「鬼はー」と先ほどから何度も響いている声が聞こえ、「げっ」と声を漏らした直後、バラバラバラ……と嫌な音が聞こえてくる。 「もう、勘弁してく」 れ、と言葉を続けようとした時、「危ないっ!」と誰かの声とともに、頭に衝撃が走った。 俺は、鬼だ。 地獄で働いている鬼だ。 生前は人として生きたのかも知れないが、もう生前の記憶など殆どなく、鬼として生きている云百年の記憶のほうが色々な意味で濃ゆい。 多少の痛みがあっても、基本的には死なないし、痛みと言っても、腕をもがれたり、とか、腹を抉られたりだとか、そういう傷になれば、流石に痛いと思うが、豆をぶつけられたりするくらいなら、別に痛いとは思わない。 あ、でも、タンスの角に小指ぶつけるのは痛い。あれは痛い。 じゃなくて、だから、別に今日、現世に来てからの豆攻撃は、別に痛いとは思っておらず、ただただ、ウザい。 だが。 「お、お兄さん?!ちょ、大丈夫ですか?!!生きてますか?!!って何で豆?!いや、そうじゃなくてお兄さん!救急車?!え、それともこれって事件?!けーさつ?!」     
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