3人が本棚に入れています
本棚に追加
目を開けても、豆しか、見えない。
多分、かろうじて外に出てるのは、帽子の部分だけだろう。
肩にも、足にも、背中にも、豆、豆、豆。
おそらく俺は今、豆の山に埋まっている。
口元にある豆は邪魔だから、多少食べるにしても、こんなにはいらない。
そして、その豆の山の外で、きゃんきゃん、と騒いでいる少し高い声が、自分の事でも無いのにものすごく慌てているのが、目に見えて分かる。あ、見えてないや、俺、今、豆の山の中だから。
「おにいさんっ?!」
バラッ、と豆が動いた気がする。
ばらばらと崩れていく豆たちを内側から「おお、スゲぇな」などとぼんやりと眺めていれば、グイッ、と何かが俺の腕を掴んだ。
ぐん、と身体が引っ張られる。
じゃらっと一気に崩れ去った豆の合間から見えたのは、冬の青空と、必死な顔をする、人間の顔。
ドクンッ、と身体の中で、何かが大きく波打つ。
「生きてますか?!」
そう言って、豆の山に埋もれた俺を助け出したのは、一人の、小さな人間だった。
くるっくー、くるっくー。バサバサバサッ。
公園に、たくさんの鳩や、鳥、その他に小動物など、たくさんの動物たちが集まっている。
最初のコメントを投稿しよう!