鬼とヒトの子

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目を開けても、豆しか、見えない。 多分、かろうじて外に出てるのは、帽子の部分だけだろう。 肩にも、足にも、背中にも、豆、豆、豆。 おそらく俺は今、豆の山に埋まっている。 口元にある豆は邪魔だから、多少食べるにしても、こんなにはいらない。 そして、その豆の山の外で、きゃんきゃん、と騒いでいる少し高い声が、自分の事でも無いのにものすごく慌てているのが、目に見えて分かる。あ、見えてないや、俺、今、豆の山の中だから。 「おにいさんっ?!」 バラッ、と豆が動いた気がする。 ばらばらと崩れていく豆たちを内側から「おお、スゲぇな」などとぼんやりと眺めていれば、グイッ、と何かが俺の腕を掴んだ。 ぐん、と身体が引っ張られる。 じゃらっと一気に崩れ去った豆の合間から見えたのは、冬の青空と、必死な顔をする、人間の顔。 ドクンッ、と身体の中で、何かが大きく波打つ。 「生きてますか?!」 そう言って、豆の山に埋もれた俺を助け出したのは、一人の、小さな人間だった。 くるっくー、くるっくー。バサバサバサッ。 公園に、たくさんの鳩や、鳥、その他に小動物など、たくさんの動物たちが集まっている。     
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