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そんな中、ぽつん、とベンチに座るのは、鬼の俺と、人間の、子ども。子ども、と言っても、本人曰く、そろそろ成人を迎えるらしい。
成人とはこんなに幼かったか?などと思ったが、「童顔なんです」と言った時に、ほんの少し頬を膨らませていたから、これ以上、そこに触れるのは止めた。
「お兄さん、本当に怪我してないんですか?」
カップに入ったココアを飲みながら、じぃ、と俺を見るヒトの子の視線は、明らかな疑いを持っている。
「いや、俺、アレくらいじゃ怪我しねぇし」
「アレくらいって、結構な豆の山でしたよ?!ここら一体に広がってる豆、全部お兄さんを埋めてた豆ですよ?!」
「まぁ…そうだろうな」
ズズ、と珈琲を飲みながら答えれば「お兄さん、何者…」とヒトの子が呆れた様子で呟く。
「いや、だから、鬼だってさっきから何度も言ってるだろ?」
「そんなん言われて、ハイ、そうですか、って信じるほど、幼くありません!」
キッ、とこっちを見ながら言うヒトの子に、「いや、俺から比べたらなぁ」と返せば、うぐぐ、と何やら唸る声が聞こえる。
「お、鬼だって言うんだったら…そうだ!鬼さんと言えば、角!角があるはずです!角のひとつやふたつ、あるのならば、お兄さんが鬼だって信じ」
「あるぞ。ホラ」
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