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「俺たちリカオンも《アダム・ルネサンス計画》の道具として造られた。あと百年も経てば人間が地球に住めるようになり、用済みのリカオンは緩やかに滅ぼされる――今の所そういう筋書きになってる。だがそうはさせないさ。リカオンたちが計画以外の役割を見つけ、有無を言わせない確固たる地位を築ければ人間と共存する道も開けるんじゃないか――なんて、俺が勝手にそう思ってるだけだがな。それでも役割なんて与えられるだけじゃなく、自分たちで見つけられるってのは確かだろうよ。なあに、俺たちについてくれば必ずあるから心配するな」
「……そうだね」
カノープス社製恐竜型ロボット、アレックス。彼は今、新しい仲間たちのために何ができるのかを燃える黄昏の中で考えている。
メキシコとアメリカの国境付近、何処までも広がる赤土の平原に一人の男が眠っている。重さ五〇キロを超える巨大な隕石が彼の墓標だ。傍らに植えられたサボテンの花が月明かりに照らされて白く輝いている。そこを起点にしたティラノサウルスの足跡は真っ直ぐ北へ延びていて、障害物に阻まれることなく地平線の向こうへ続いていた。
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