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そこではシャルルがスコップ片手に彼を待っていた。体中土にまみれていて何度払っても砂埃が出てくる。
「来たな、アレックス。お前に確かめてもらいたいことがある、まずは穴の中をのぞいてみろ」
彼が顎で示した穴の中をアレックスが覗くと、たくさんの白く細長い物体と一つの丸いものが赤土の中に埋まっていた。遺伝子操作を受けていない、本物の人間の骨。砕けた頭蓋骨の中から銃弾に貫かれた電子化脳が覗いている。その中身は空っぽだった。
「アレックス、これが《誰》のものかお前に分かるか?」
その人骨の右腕部分には皮膚のない合金製の義手が残されていた。アレックスはこの義手に見覚えがある。自分の身体を毎日きれいに整えて、優しく撫でてくれたあの機械の手。
「これは――アイザックさんだ。もしかして、みんなはずっとアイザックさんを探してくれてたの?」
「ええ、そうよ。『自分の遺骨をアレックスの傍へ』。これが彼の遺言だったの」
アニェスが小さなメモリーチップを取り出しながら言う。彼女はアレックスの足に触れて接続パネルの蓋を取り外した。
「私達があなたを修理するときに、パネルの内側にメッセージとこのチップが収められているのを見つけたの。あなたが再び目覚める時にチップ内の映像を見せてほしいって」
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