Prologue - I'm not straight

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「ふん、弟子のくせに生意気な口叩くようになったじゃねえか。次に、本の作者が見たという写真だ……対SAU(南米連合)戦へ向かうアメリカ軍らしい。前の写真と比較すると、皮膚は剥がされているが大きさは寸分違わない。どうだ、ちったあ興味が湧いてきたか?」 シャルルが次に提示した写真の日付は二五二五年八月三日、場所はアメリカ軍の野外拠点らしい。赤土の大地にサイボーグ兵やAI戦車が整列して技術者のチェックを受けている。その一番後列、写真の右端に凡そ戦場には似つかわしくない巨大なロボットが見える。表面は銀色ではあるがその形は確かにティラノサウルスだった。画像分析ツールを起動させ被写体の大きさを推定させると、ティラノサウルスはどちらもおよそ高さ三m・体長九mでピタリと一致する。 「……場所と期間は?」 「メキシコ北部の平原地帯、五月二十二日から一ヶ月間だ。寝袋は早めに手入れしておくんだな」 「了解。マスター、追加でモンブランとブラマンジェお願い」 「おいおい、奢るとは言ったが限度ってもんが――」 「古代エジプトから不変の真理一、『女を口説くのに最も重要なのは財布の重さ』。そうでしょう?」  アニェスは困惑しているシャルルにケーキ用フォークを突き付ける。彼女はテーブルに並べられたティラミス・ザッハトルテ・ミルフィーユのどれから手を付けるか、未だに決めていなかった。
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