CH1 - Living in the shell

5/8
前へ
/37ページ
次へ
やがて、一番体格の大きいリーダーらしき男がアレックスへ向けて何か言葉を発する。しかし、発音が全く出鱈目であるため彼は理解することができなかった。彼には英語以外の言語プログラムを与えられていないので他の言語かどうかの判断も付けられない。 (言語中枢は何ともないからボクのせいじゃない。せっかく降伏してくれたのにこれじゃ全然話ができないな。どうしよう)  彼が言語の通じない状況の改善方法を思索していると、リーダーの隣にいた赤毛の女性が話しかけてきた。明瞭な発音に正確なアクセント。今度はアレックスも正しい意味を理解できる。 「私の名はアニェス・ディオール。私たちは北米考古学協会所属の発掘調査団よ、あなたに危害を加えることは絶対にしないわ。むしろあなたを助けに来たのよ。だから、まずその物騒なものを納めて欲しいんだけど?」  彼女はガトリングガンを向けられているにも拘らず、両手を組んだままゆっくり立ち上がると果敢にも彼の方へ接近する。仲間が制止するのも聞かずに、やがて彼の目の前まで来るとアニェスは言った。 「確かにこの状況では私達の話を信じてもらえないでしょうね。でも今までの経緯、あなたの身に起こったこと、私達のこと、どれも説明にはとても長い時間が必要になるわ。だから最初に私達を信用してくれないかしら? あなたの命令には従うし、お望みとあらば服も全部脱いだって構わないわ。さあ、なんなりと言って頂戴」     
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加