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雨の国のレイニー姫
太陽の国、雨の国、霧の国、そして氷の国。
この世界を四分する国で、百年に一度の婚姻の儀が執り行われることになりました。
王子はただ一人、太陽の国のサン。
そこへ三人の花嫁候補。
まずは雨の国のレイニー。泣き虫で気弱な姫です。
次に霧の国のフォグナ姫。滅多に姿を見せない謎の多い姫です。
最後は氷の国のブリザラ姫。身も心も凍らせると噂の冷徹姫です。
さてサン王子はどなたを選ばれるのでしょうか。
「こんなプロフィールだけで生涯の伴侶を選べだって? 冗談じゃない! 今から会いに行くぞ」
サン王子は手にした紙の束を弾き、勢いよく立ち上がりました。
サン王子は細身ですが、かなりの長身です。黄金の髪があちらこちら元気に跳ねた頭が、まるで小さな太陽のごとく輝いています。
傍らに使えるのは王子と歳の近い従者グラス。幼い頃よりサン王子に振り回されっぱなしで、やや老けて見える苦労性の青年は、はぁ、と何度目かの溜息。
「王子、それ程簡単なことではございません。勝手に他国へ入れば外交問題になります」
「王子としてではなく、一般人旅行客として行けば良い」
「一般人がそう簡単に一国の姫に目通りできるわけないでしょう?」
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