第弐章 初めての夏から・・・

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と力のない返事をするのは内田。 代打を告げ打席へと向かう内田だが、明らかに緊張しており若干足が震えていた。 「あれ?内田君?」 と言うのはハルナ。 明日香は打席に向かう内田を見て言う。 「すっごいガチガチじゃん…」 「内田君確か初心者だよね…」 と話すスタンド。 春瀬監督は内田に期待ではなく、この空気を直に感じさせるのが狙いだった。 ベンチから見る風景と実際に試合に出て味わう風景とは全然違うからだ。 (この経験は内田にとって今後良いものになるハズだ…) と内田を送り出す春瀬監督は打席を見つめる。 打席へと立つ内田はバットを構えるも緊張からか固まっていた。 (すごい緊張だな…) とキャッチャーも見てわかるほどの緊張が見える内田に対し初球はストレート。 これを内田は見逃しストライク。 (次は振らなきゃ…) と二球目のストレートを振りに行くもバットはボールの上を振ってしまう。 これでツーストライクとなり追い込まれ、最後の土屋の投じたストレートを内田はフルスイングするも、バットは空を切った。 「ストライク!バッターアウト!」とコールがされワッと球場が沸き上がった。 キャッチャーとハイタッチをしながらマウンドから降りていく土屋。     
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