第弐章 初めての夏から・・・

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俊哉は最初こそ驚いていたが、次第に涙が込み上げてくると一筋の涙が頬を伝いながら流れると次から次へと零れてくる。 「悔しい…すっげぇ悔しい…」 「うん…うん…」 と涙を流しながら話す俊哉を何度も相槌をしながら優しく抱き寄せるマキ。 明日香はその二人をただ見守るだけである。 俊哉にとっての初めての夏がここで終わったのである。 マキたちが帰ったあと、俊哉は入浴を済ませ部屋にいた。 タオルで頭を拭きながらスマフォを見ると一件の通知が来ており俊哉は通知を開くと、表情が和らぐ。 「司ちゃん…」 司からのメッセージ。 内容は“今日は残念でした。でも今回初めて試合を見せていただき俊哉さんのヒットが見れて良かったです。辛いと思いますが、また次の大会へ向けて頑張ってください。あと俊哉さん、カッコよかったです”と書かれており俊哉は思わずニヤつくと、“ありがとう。秋に向けて頑張るよ”と打ち返信する。 メッセージを打ち終えベッドに横たわる俊哉。 「あ~…実力不足だ…クソ!」 と1人呟き今日の反省を自分なりにする。 俊哉にとっての高校生活初めての夏大会の最後は納得のいかない内容では無かった。 負けるべくして負けたと感じていた。 彼と同じことを考えている選手がどの位いるかは分からないが、俊哉自身としては皆が同じ意見であることを願うばかりだ。     
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