第弐章 初めての夏から・・・

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第30話:沼津 八月に入った。 甲子園では全国高校野球選手権大会が開催され熱戦が繰り広げられている。 そんな中の朝の静岡駅では、俊哉が改札前にスマフォで時間を確認しながら待っていた。 「お待たせしました?」 「あ、お?い」 待っていた俊哉の所へ急ぎ足で駆け寄ってくるのは司だ。 スカートで半袖のTシャツを着て来た司。 地味目で決してお洒落とは言い難いが、彼女にとって精一杯なのであろう。 それは俊哉も同じで半ズボンにTシャツに野球帽である。 「じゃあ行こうか」 「は、はい」 前髪で隠れた司の顔だが恥ずかしそうにしているのが分かった。 俊哉も司の表情を見て急に恥ずかしくなったのか言葉少なになりながら電車へと乗る。 静岡駅から電車で走らせ約1時間。 二人は東部の港町である沼津へと降り立つ。 駅から市営バスを乗り南へ真っ直ぐ降りる事20分。 「到着?」 「わぁ?」 バスから降りると目の前には沼津港が広がる。 ここ数年で盛り上がりを見せている沼津港、二人は深海水族館へと足を運んだ。 日本でも珍しい深海魚を中心に展示されている水族館で普段見ない様な深海魚が数多く展示されている。 二人は水槽を見ながら楽しそうに話をする。     
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