第弐章 初めての夏から・・・

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素晴らしい立ち上がりを見せる一方、打撃陣は1番に入った俊哉は三球目を叩くとピッチャーの股下を抜けていくヒットを放つ。 続く2番の山本はすぐさま送りバントを決め一死二塁のチャンスを作ると、今日3番に入った望月に回る。 「ヒデ、俺に繋げよ」 「はいよ?」 ネクストの明輝弘に言われ緩い感じで答える望月。 左打席に入りバットを構える望月は慎重に一球目二球目と見ていきいずれもボールの判定。 三球目はファールにし四球目は見逃しストライク。 これで平行カウントになる。 (打つのは得意じゃねぇけどよ・・・監督が3番にトシじゃなく俺を選んでくれたんだ。期待に応えなきゃな!) 望月の振り抜いたバットにボールが弾き返される。 引っ張った打球はライトの頭を越える当たりとなりランナーの俊哉がホームイン、打った望月は三塁まで行くタイムリースリーベースとなる。 『ナイバッチ?!!』 聖陵ベンチから掛け声が飛ぶと望月は嬉しそうに右腕を上げて応える。 1点を入れ、尚も一死二塁として打席には明輝弘。 だが、明輝弘は徹底的な変化球攻めで空振りの三振を喫してしまう。 「くそっ・・・」 悔しそうにベンチへと戻る明輝弘はバットをガンと強めに落とすとドカッとベンチに座り憮然とする。 三回戦の明倭戦ではヒット1本も出ず3三振と本人としては納得のいかない成績だ。     
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