137人が本棚に入れています
本棚に追加
/313ページ
第3話:至福の時間
俊哉達1年生が入学し数日たつと新入生は各々の部活へと入部届を出していた。
サッカーやバスケ、はたまた武道系や文化系など多くの部活動がある中で生徒ひとりひとりが自分の入りたい部活動へと入部届を持っていく中、俊哉も入部届に“野球部”と書き担任へと提出をした。
そんな活気づく中での昼休み。
屋上の建物の壁に座り寄りかかりながら週刊マンガを読む少し眺めの髪の毛でツンツン頭の長身の男子生徒がいた。
その生徒の隣には紙パックのコーヒーとパンが置いてあり、おそらく昼食を取りながら週刊マンガを読んでいるのであろう、集中しているのか黙々と読んでいる。
すると彼の前にぬっと人影が現れる。
その人影はボブカットで少し目がキリッとしているボーイッシュな感じが特徴の女子生徒が両手を腰に当てながら立っていた。
「ちょっと入学早々いきなり漫画ぁ?」
話をする女子生徒だがその男子生徒は集中しているのか聞いていない。
何度か声をかける女子生徒であるが、聞く耳を持たない男子生徒を見てハァっと一つ溜め息を着くと勢いよく読んでいた漫画をバッと取り上げた。
「あ!このアマ!」
威圧感たっぷりの口調で怒りをあらわにする男子生徒。
「アンタが話聞かないのが悪いのよ。」
「うっせぇ。俺は自分の時間を邪魔されるが一番嫌いなんだ。それを返せ」
「そんなモンいつでも読めるでしょ!」
「今が良いんだよ」
しばらく取り合いをするがさすが男性と言うのか、男子生徒が力づくで奪い取る。
その彼の態度にフウッとため息をつくと話を再び切り出す。
「A組でアンタだけなんだけど、入部届出してないの」
「あぁ?だってねぇんだもん」
「何がよ」
「バンド部」
「はぁ・・・アンタ好きねバンド」
「俺のソウルだからな」
自慢げに話す男子生徒に女子生徒はため息をつきながら彼の前に立ちながら少し黙るも再び口を開く。
最初のコメントを投稿しよう!