第参章 越えるべき壁

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 そう話し俊哉が手を差し出すと、明輝弘はすぐに察したのかスッと手を差し出しガッチリと握手をしたのである。 「あ、そういやトシは?聞いてなかったわ」  竹下の言葉で本題に戻る。  俊哉は握手を離すと、一息おいて話を始める。 「俺はまずは筋力アップかな。監督にも言われたけど速い速球を打ち返す筋力とスイングスピードを手に入れる。監督からはメニューをもらってるしね」  俊哉は他の選手と比べてやはり頭一つ吐出しているが、良くも悪くもバランスの良い選手止まりである。そこで監督は彼に筋力アップとスイングスピードの向上を課したのである。  特に俊哉にとって難題なのは筋トレ、彼は部内1の筋トレ嫌いであり余り率先してやらない。  そこで監督は彼自身でなく、菫にメニューを渡し監視を兼任させた。 「勿論?トシ君がサボらないように私が見てるけどね?」 「あはは・・・はぁ」  バチコンとウインクしながら話す菫に俊哉は苦笑いを見せる。  こうして選手全員から自身の課題を言い合う形となり、彼ら自身が互いの課題を確認しあいメンバー同士としても絆を深めることができたのだと思う。 「よし!明日から今言った課題を頑張ってこうぜ!」 『お?!!』  竹下の掛け声で選手全員が声を出す。     
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