第壱章 新たな出会い

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「アンタ、野球してなかったっけ?野球部あるよ?ここ。アンタもそれなりに有名じゃなかったけ?」 「野球はやらん。高校まで来て真面目にやってられっか。今の時代はバンドだよ。泥だらけの青春は今の俺には必要ない」  そう言い放ち再び漫画に目を落とす男性生徒。  女子生徒はそんな男子生徒を見るとまた漫画を取り上げた。 「あ!!この!」 「これは没収。学校には漫画はいりません」  そう言いながら週刊マンガを持って歩き出す女子生徒。  立ち上がり追いかけようとする男子生徒であるが、めんどくさくなったのかドカッと座り直し置いてあった紙パックのコーヒーを一気に飲み干す。 「まったく・・・おいだったら金払え230円」 「いやよ。」 「この・・・!」 「ホント、アンタ中学ん時から変わらないわね」 「あぁ?なんで中学の俺を知ってんだ?なんだ?俺のファンか?」 「アホ。同じ中学なだけよ。でなかったらアンタなんか知りたくもないわ」  ベッと舌を出しアカンベをする女子生徒はそのまま校舎の中へと入っていってしまった。 「あぁクソアマが・・・俺の至福の時間を邪魔しやがって・・・」  紙パックのコーヒーを潰す男子生徒。  青空が広がる空を見上げながらしばらくボッと眺めていた男子生徒だったが、午後の授業が開始される五分前のチャイムが鳴ると少し慌てながら昼食のパンを口に押し込み校舎へと戻っていく。 (ったく、最悪だぜ。アイツにぜってぇ返してもらう。あの・・・ん?名前なんだっけ?まぁいいや同じクラスっぽいし放課後にするか)  そんな事を考えながら廊下を歩く男子生徒であった。  この男子生徒、彼の名は庄山明輝弘(しょうやまあきひろ)。  彼もまた、この物語の高校3年間を過ごす生徒の一人である。
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