第零章 はじまりのはじまり

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1話:進路 10月、そろそろ綺麗な紅葉が見える時期になるころ。 とある中学の教室で少年が机に突っ伏しながら唸っていた。 「あ~、暇」 と呟くこの短髪で顔は見た感じでは童顔ともいえる顔立ちの少年がブツブツと呟いていると彼の目の前に同じく短髪で調った顔立ちの少年が歩み寄りため息をつきながら話しかける。 「トシ、さっきからそればっかじゃん」 トシと呼ばれた机に突っ伏している少年。 彼の名前は横山俊哉(よこやまとしや)。そしてその彼に話かけた少年は村神秀二(むらかみしゅうじ)という名である。 二人は野球部でつい二か月ほど前に現役を引退した選手たちである。 しかも引退するときの肩書はすごいもので「リトルシニア選手権大会優勝」の肩書を持っての引退であった。 俊哉は最後の打者の打球を捕った選手であり、秀二はチームのエースである。 二人は少し他愛もない、あの授業の内容はどうだとかあの店に新しい物が入っただとか何気ない話をしていると、秀二はとある話題を口にした。「トシはさぁ、進路とかどうすんの?」 そんな村神の言葉に俊哉は少し考えるとギィッと椅子の背もたれに寄りかかりながら。 「ん~、やっぱ明倭かなぁ。家か近いしそれに有難いことにお誘いの声ももらってるしねぇ。シュウは?」 「俺?俺は、神奈川の陵應に行こうと思ってる。」
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