第零章 はじまりのはじまり

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2話:思い 俊哉に陵應への入学を催促したとある日の夜。 自宅の部屋にて座布団へ座りながら某野球ゲームをしている少年の姿があった。 彼の名前は村神秀二。 前話で俊哉を陵應へ誘った人物である。 「考えさせてかぁ・・・」 とコントローラーを手放しポツリと呟く秀二。 秀二はリトルシニア選手権大会優勝投手であり、その影響が強く県内外の強豪校からの誘いが絶えず来る。 今日も家に戻ると県内の強豪校のスカウトらしき男性が来ており挨拶と話をしていた所である。 しかしこの時点で秀二はすでに陵應への入学を決めておりキッパリと断りを入れていた。 ここまで彼が陵應に拘る理由とするのは、徹底された管理や設備等の学校環境は勿論であるが、監督の手腕も一つの要因である。 神奈川陵應学園(かながわりょうおうがくえん)という正式名称であるこの陵應はここまで5年連続で甲子園へ出場を決め、春夏での計算だと5年間で夏5回春4回の計9回の出場を誇る常連校である。 その5年連続甲子園出場へ導いたのが現在の監督である。 日本全国から多くの有望選手が入って来るこの高校は実はスカウトをほとんど行っていない。 というのも、野球部関係者が見に行くのではなく監督自身が全国を回ってただ試合を見るだけなのである。
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