第弐章 初めての夏から・・・

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第20話:夏開幕 七月になった。 梅雨も明け夏本番となる。 聖陵野球部もいよいよ夏本番。 草薙球場では開会式に参加するべく県内約120校の高校球児たちが集まっていた。 その球児たちの中にいる俊哉ら聖陵のメンバーはどこか緊張の面持ちをしており、深呼吸したりと気を落ち着かせる事に集中している。 時間となり役員の男性が選手たちを整列させる。 ブラスバンドの音楽と共に選手たちは入場行進を始めると、次々と選手らが休場へと入場していく。 そして聖陵の名前が呼ばれると俊哉たちは行進を始める。 前日に練習はしたものの、手と足が一緒に出る者や他と揃えて歩かない者など、若干悲惨な光景であったであろう。 そんな光景を見てスタンドの春瀬監督は恥ずかしそうに手で顔を覆っていた。 選手全員が整列を終えると、県野球連盟の偉い人が話を始める。 ジリジリと日差しが照るこの状況では酷というものであるが、彼らはどうにか我慢をして聞いていた。 選手宣誓も終え開会式が無事に終わり選手たちは退場をし、いよいよ開幕戦の準備が始まる。 緊張が解けたのかグデッとする聖陵野球部の選手たち。 「あ~疲れた~」 「俺次から開会式は欠席するわ」 「いやいやダメだろう!!」 欠席宣言をする明輝弘に対しツッコミを入れる山本。 そんな感じでワイワイしてると、一人の選手が近づいてくる。 「俊哉君、だよね?」 俊哉に話しかけてくる選手は爽やかイケメンと言える顔立ちでスラッとした高身長の選手だった。 「あ…土屋君?」 「やっぱ覚えててくれたんだ。久しぶり」 と土屋と呼ぶ俊哉に彼は嬉しそうに握手を求めると俊哉はそれに応じガッチリと握手をする。 俊哉が目を落とすとユニフォームの胸の部分には、英語で“MEIWA”の文字が書かれていた。 「あ、明倭…」 「うん。明倭だよ。本当なら俊哉君と一緒だったかもしれないけど」
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