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海(La Mer)
ー 海(La Mer) ー
おだやかな水平線 僕はそこに永遠が見える
46億年前のそのむかし
生まれたばかりの地球という星には海など無く
岩石がとけたマグマのみが地表を堅く覆っていた
空は蒸気や窒素・二酸化炭素などのガスでできた原始大気で覆われていた
やがて地球の温度が急激に下がり
原始大気の中に含まれていた水蒸気が雨となり
地上に降り注ぐようになる
43億年前のことである
地球という星全体が豪雨の時代となったのだ
しかも熱湯の雨だ
地球上のすべての地域で年間の雨量は10mを超える
すさまじい大雨だった
日光の届かない暗闇の中
それが約千年もの間毎日降り続いた
荒々しく岩を削り
岩石の水溶性の要素を全て水に溶かしこみ
地表の低い部分へと流れ
それは徐々に溜まっていった
そして地球に託された
穏やかな気候が奇跡を生み出す
そう 生命の根源 海の誕生だ
海に対し
僕たちは小さく非力であろうか?
いや それは違う
お互い横一列の関係だ
我々は一人当たり40兆個の細胞でできている
染色体46本には遺伝情報が記録され
この染色体上に約30億個のDNAの塩基配列が存在する
ヒトの全ての細胞を紐解くと
一人のヒトゲノムの総全長は120兆メートル
これは太陽系サイズに匹敵する驚くべき長さである
海も僕らの体も宇宙の一つである
かけがえのない地球の構成員である
よせては返す渚でたわむる
僕は海と一体となり
大切な命 そして永遠を語る
おだやかな水平線 僕はそこに永遠が見える
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