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 ある日、私はそんなひとりぼっちの木に登り、軽い身体を太い枝の上に乗せ、ぼんやりと目に見える景色を眺めていました。  すると、姉が携帯を片手に近づいて来るのが見えました。  「きゃはは、何それ、おもしろーい」  どうやら姉は、大学のお友達とおしゃべりをしているようでした。  大学生の姉が家にいることは、あまり多くありません。たいていは、バイト先からそのまま友達の家に泊まりに行くか、さもなければ、初めから泊まりがけでどこかへと出掛けます。また家にいる時はたいてい、携帯を片手に自室に籠もるか、バラエティやドラマ番組を見て、一人でキャーキャーと興奮しています。要は、学校以外のほとんどの時間を家で過ごし、携帯で友達と連絡を取ることもほとんどなく、テレビにも一切興味のない私とは、似ても似つかない性格、ということです。  「いやー、マジでウザいよねー、キャロルって。マジあり得ないわー」  どうやら姉は、電話の話し相手と一緒に、キャロルさんのことを批判しているようです。キャロルさんは、姉の大学の同級生で・・・あれ?そういえば姉さんって、昨日そのキャロルさんと電話で、楽しそうにお喋りしてなかったっけ?     
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