0人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
そうして舌打ちした姉は、木の上からこちらをぼんやりと見つめる私に、初めて気が付きました。一瞬、ギョッとした様子の姉でしたが、すぐにこちらを小馬鹿にしたような表情をして、言いました。
「あら、アリスじゃない・・・そんなとこで、なにしてんのよ?」
「なにって・・・ただ気持ちいい風を受けて、のんびりしているだけ」
「ふーん・・・たのしーの、それ?」
「うん、楽しい」
「ふーん、そう・・・」
そう言った姉の表情からは、
ーそんなの、たのしーワケないじゃない。へんな子・・・ー
という感情が、ありありとうかがえました。
「あんた、たまには友達とあそんだりしないの?」
姉はなおも聞きます。
「まあ、ごくたまに・・・お姉ちゃんは、今日も友達と遊ぶの?」
「そういうこと。大学の友達と、ヤーシブの町でね」
そう言った姉の表情からは、何やら勝ち誇ったようなものが漂っていました。
「あ、いけなーい。そろそろ準備しないと」
そう言って姉は、スタスタと自室へ引き返して行きました。そんな姉を、私は不思議に思いながら見つめていました。
最初のコメントを投稿しよう!