良き終わりを。

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   そのお墓には多くの花が添えられていた。私も鈴木氏の墓前に花を添え、しばしばの黙祷を捧げお墓を後にした。  鈴木氏とは偶然隣の席になっただけで,たまたま少し話をしただけの間柄でしかない。しかしあの後の鈴木氏の脅威的な行動には瞠目せざる終えない。いったい何が起こっていたのか。  今回の事件についてはルポライターとして事件を正確に伝えて行きたいとは思う。しかし事件の真相とはいったい何だったのか。私は思い悩んでしまう。  そうあれは1週間前とある取材の帰りのことだった・・・・・・・・・・・・・・・。 ー東京行き飛行機機内ー   私は横の窓から無事飛行機が離陸できたことを確認して安堵していた。ヒマつぶしに機内のラジオを聴くか寝てしまおうか考えていた。  そのとき隣の初老の男性が異様に震えていることに気づいたのだ。飛行機が怖いのだろうか?体調不良か?そう思い声をかけてみたのだ。  「どうしました?飛行機は無事飛んでますよ。それとも具合が悪いのですか?」  「嫌っ。違うんだ。わしは飛行機は特別苦手でもない。持病も持っとらん。ただ奇妙なことを思い出しただけだ。今まで忘れていたのになぜか今頃・・・・・・」  尋常ではない雰囲気を感じ、職業病か只の勘か私は話が聞いてみたくなった。  「私こう言う者でして。もしかしたら何かのお役にたてるかもしれませんよ」  男は私の名詞をしげしげ見ると口を開いた。  「記者さんかい。じゃあ知ってるかもしれんな。あんた死因売りって聞いて事あるか?」  「死因売り?・・・・ですか?死因とは死ぬときの?」  「やっぱり知らんか。そうだろうなぁ。只の夢かもしれんしな」  男は不安げに語りだしたのだ。  「あれは何年か前、友達と飲んだ帰りだったか。駅への近道に路地裏を歩いていたときだ。見慣れない店があったんだ。店といっても机1個で、占いでもやっていそうな感じだった」  「見たら影の薄い若いアンちゃんがじっと座っとたんだ。商売も繁盛してなそうだった。可哀想だし酔っとったから。かまってやろうと声をかけてみたんだ。」  「占ってくれって言ったら。占いはやってないと言うから。じゃあなにを売ってんだって聞いたら死因を売ってると言うんだ」
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