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「ははっ・・・ははははははは」
男性が笑いだした。前方からは喧騒が・・。この状況は言ったい・・・・・・。
「わかったんだ・・・私が死んだ理由は・・・」男性は震えだした。
前方の喧騒はピークを迎えた。どうやらハイジャックが行われつつあるようだ。CAさんが青年にナイフを突きつけられている。かなり危険な状況だ。
「違う・・・・違うんだ・・私は望んではい・・・・・・ 」男性は激しく動き出す。
そして男性は急に立ち上がったのだ。身体は振るえ、顔は恐怖に引きつっていた。何を・・と思う間もなく全速力で走り出したのだ。
そのままの勢いでハイジャック犯にタックルを仕掛けたのだ。馬乗りになり犯人の首を締め付けた。犯人もナイフで応戦したのだ。
何回もナイフが振られ血が飛び散ったのだ。血が床にあふれ出したにも関わらず男性は意にも介していないようだった。やがてゴキリと音が鳴り犯人は動かなくなった。
男性も倒れ、両者相討ち合ったのだ。わずかな時間の間、誰一人動けなかったのだ。
その後男性は悲劇的な英雄として多くの人から賞賛を浴び、惜しまれつつ生涯を終えたのだ。
これが私の見た物語。佐藤氏は英雄的な行動で我が身も省みず皆を守ったのだ。しかしながら気になるのは佐藤氏のあの挙動。とても尋常ではなかった。まるで未来予知のような言動。死の理由がわかったとも言っていた。死因売りとはいったい・・・・・・・。
それに犯人はどうやってナイフを持ち込んだのか。機知や根性でなんとかなるもんでもないように思うが。結局犯人は死亡したため詳しいことがわからない。
答えがでないまま私は霊園の出口に向かった。
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