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「こんな所で事故るバカが居るんだからな」
死者も出ている場所だ。普段なら思っていても口に出すようなことはしないが風邪のためか身体が怠くて苛ついていた坂口は嘲笑う様に呟いた。
暫く走っているとハンドルが重くなったように感じた。
「んん!? 何だ? 」
車が右へ、中央分離帯へと寄っていく、坂口は慌ててハンドルを左に切った。
また暫くするとハンドルが重くなり車が右へと寄っていく、風邪気味で怠くてハンドルが重く感じるのだろうと坂口は大して気にもせずに国道から脇道へと出た。
「おおぅ、治った。やっぱ早めの薬だな」
先程まで少し重く感じたハンドルが軽い、身体の怠さも消えていた。風邪薬が効いたのだと坂口は脇道の先にある会社の駐車場へと入った。
翌朝、すっかり体調の良くなった坂口は会社へ向かうため車で国道○号線を走っていた。
件の事故の多い場所へと差し掛かる。
「何だ前の奴…… 」
直ぐ前を走る車の動きが変だ。中央分離帯のある右へと寄ってはフラフラと元の場所へと戻ってくる。
坂口は目を凝らすと睨むようにして前の車を見る。会社員だろう、乗っているのは運転している男が一人だ。
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