7人が本棚に入れています
本棚に追加
寝惚けているのか電話でも掛けながら走っているのかと思った坂口は追い越そうとして左車線へと入るタイミングを計りながら前の車を見ると助手席に誰かの頭が見えた。
「何やってんだ? 」
助手席に座った女が運転席に手を伸ばしている。先程は居なかったはずだと不思議に思ったがしゃがんでいたか寝ていたかして見えなかっただけだろう、
「イチャつきやがって…… 」
女が運転席に手を伸ばす度に車がフラフラと右へと寄っていく、運転している男は中央分離帯にぶつかりそうになると慌てて左へとハンドルを切っている様子だ。女とイチャついてフラフラとした運転をしているのだと坂口は腹が立ってきた。
「クソッたれが! 」
坂口は左車線へと出ると前の車を追い越して右車線へと戻る。
「あれ? 隠れたのか? 」
どんな奴らか確認してやろうとバックミラーを見ると助手席に座っていた女の姿が見えない、乱暴な運転で割り込んだのを見て女は隠れたのだと坂口は思った。
「朝からムカつくぜ」
ああいうバカが事故るんだと愚痴りながら坂口は国道を出て行った。
翌朝、国道を走っていると前の車がフラフラと右へと寄っていく、危なっかしいので注意して見ていると助手席に乗った女が運転席に手を伸ばしていた。
最初のコメントを投稿しよう!