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青白い顔をした女がニタリと不気味に笑いながらスーッと姿を消していった。
幸いな事に後ろを走っていた車も止まってくれて事故にはならなかった。
クラクションを鳴らす後ろの車に窓を開けて首を出して頭を下げると坂口は慌てて車を発車させた。
「ゆっ、幽霊だ……女の幽霊が………… 」
軽くパニックを起した頭で考える。
「この前見た事故も……車の横にいた女は……あれほど直ぐに事故った車から降りられるはずがない、幽霊だったんだ」
出勤する男が女を乗せてイチャつくだろうか? 以前見た助手席から手を伸ばしてイチャついていた女は彼女などでは無くあの幽霊だったのではないのか? 見通しの良い道路で頻繁に事故が起るのは全てあの女幽霊の所為ではないのか?
「この前も風邪を引いたときにハンドルが右に切られた。あの時も彼奴が乗ってたんだ」
助手席を見つめて坂口が震える声を出す。あの女幽霊は体調不良で注意力が落ちたのを狙って現われるのではないだろうか? 事故を起させようと獲物を狙っているのだ。
坂口はあの国道を通るのを止めた。20分早く出て遠回りをして出勤している。
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