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一つだけ不満があった。トイレが匂うのだ。前に住んでいた古いマンションならともかく築5年のマンションとは思えないくらいに臭かった。
「配管が悪いのかなぁ、まぁトイレだから我慢できるけど」
ドアを閉めると匂いは漏れてこない、芳香剤を置けばトイレ内も我慢できる。
大した問題では無いと林田は直ぐに慣れて気にもしなくなっていた。
ある夜、翌日が休みなのをいいことに林田は深夜までスマホでゲームをしているとトイレを流す音が聞こえてきた。
「おお、結構響くもんだな、夜中だもんな」
時刻は深夜の2時を回っていた。上の階の住人がトイレをしたのだと林田は気にもしない、ゲームに夢中になっていたと言う事もあるだろう。
「そろそろ寝るか」
スマホを持ったままベッドに転がった林田の耳にトイレの水を流す音が聞こえてきた。
「またかよ、腹でも壊したか? 」
上の階の住人を思って天井を見つめながら楽しそうに笑った。
寝転がりながら暫くゲームをしていたが睡魔が襲ってきてそのまま眠りに落ちていった。
どれ程眠っただろう、ドザァザァァー、という水が流れる音で目を覚ます。
「トイレか…… 」
寝返りを打った林田がガバッと上半身を起した。
「上じゃない! 」
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