お化け屋敷の人形

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 寒い中、知人と柴田は汗をかきながらお化けの人形を運び出してはワゴン車へと載せていく、大小合わせて18体の人形をワゴン車に詰め込んだ。助手席も倒して大きなお化け人形の頭の部分が3つほど乗っかっている。運転席以外は満杯状態だ。バックミラーで後ろを確認するのも困難である。 「うわぁ~~ぁぁ、なんか嫌だなぁ」  助手席に転がる3つの頭を見て柴田が顔を顰める。 「あはははっ、お化けとデートだな、美女が三人だ」 「いやいやいや、美女じゃなくて野獣って感じだぞ……怖いから窓の方を向いてて貰おう」  楽しげに笑う知人の前で柴田は三体の人形の頭の向きを運転席を見ないように窓側に向けて直した。途中の休みや昼飯を入れてワゴン車に載せ終ったのが午後の4時半である。 「じゃあ、行くかな」 「ほら晩飯代、途中のサービスエリアで何か食べてくれ」  車に乗り込もうとした柴田に知人が二千円差し出した。  知人とは此処で別行動だ。潰れたお化け屋敷の関係者にお化け屋敷のノウハウなどを聞くらしい。 「サンキュー、ラーメンでも食うよ」 「安全運転で頼むぞ、お化け運んで事故ってお化けになったら笑いものだぞ」 「あはははっ、そりゃ怖いなぁ」  笑いながら柴田はワゴン車に乗り込んだ。  柴田が車を走らせたのが午後の5時頃だ。2月である。日は既に沈みかけている。商店街のお化け屋敷に向けて4時間ほどの運転だ。途中の休みを計算に入れて9時半頃には着く予定である。     
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