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荷物を満載していてバックミラーで後ろを確認できないので普段より慎重に走っていてバカにされているのだとムカついたが怒って騒ぎを起してバイト代をふいにするのはもちろん何かと仕事を回してくれる知人に迷惑を掛けたくないので柴田は怒りを抑えて走っていた。
後ろでパッシングしていた車がクラクションを鳴らしながら柴田を追い抜いていく、横を通る際に運転席と助手席に座っていた男女が指差して叫ぶようにするのが見えた。
「何だこの野郎……仕事じゃなかったらその喧嘩買ってるぞ」
運転しながら柴田も怒鳴り返す。
暫く併走するように走っていた車の中で男女が何かを訴えるようにジェスチャーしてくる。
「何だ? バカにしてるんじゃないのか? 」
薄暗いのと雨でよく見えないが横を走る男女が必死に何かを伝えようとしているのだと柴田が気付いたその時、
「ぎゃあぁぁーーっ! 」
隣を走る車から男女の悲鳴が柴田にも聞こえてきた。
速度は出していないとしても高速道路を併走して走っている車から聞こえてくるなど余程の大声だ。
「ちょっ、何だよぅ…… 」
余りの出来事に不安になる柴田から逃げるようにしてスピードを上げて車は去って行った。
「人形見て驚いたんだな……はははっ、窓に向けてるからな」
倒した助手席に置いてある3つの頭をちらっと見た。
叫びを上げた男女が柴田の車の助手席の辺りを見ていたような気がするが怖くて確認など出来るはずがない。
「つっ、次のサービスエリアで飯にしよう」
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