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気にしない振りをしながら暫く走っていると後ろから気配と共に何やら小声で話す声が聞こえてきた。
『どこ……いく………… 』
『 ……すてる……つぶす…… 』
強くなってきた雨の音かと思いながらも柴田が確認しようとしたとき大型トラックがクラクションを鳴らしながら横を通り過ぎていく、
「あっぶねぇ~~ 」
トラックに煽られてワゴン車が揺れた。柴田は慌ててハンドルにしがみつくようにして横を通り過ぎたトラックを睨み付けた。
『し……のろ………… 』
『すてる……どこ…………のろう……しぬ………… 』
後ろから何やら声のようなものが聞こえて振り返ろうとした柴田の目に助手席に置いてある人形の顔が見えた。
「おわぁぁっ!! 」
思わず叫んだ。3つ重なるように置いてあるお化け人形の上と真ん中の顔が此方を向いていた。3つとも窓側に向けていたはずだ。
「ななな……何で………… 」
驚きに声を震わせながら人形を見ないように前を向いて運転に集中しようとした時、一旦通り過ぎた大型トラックが横へと並んで走り出す。
バッ、ババァァ~~、トラックがクラクションを鳴らした。
気の荒いトラックの運転手を怒らせたのかと焦る柴田の目にサービスエリアの看板が見えた。
「人形も直したいし、少し休もう」
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