第1章 海からの贈り物

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「しかし、正直に感じた事を言うと"かほ"は弱かったから逃げた訳じゃないと思うんだ」 唐突にプニ太郎が真剣そうな顔で話し出す。 「なんでそんなことわかるの!?わたし自分を殺そうとした人達に立ち向いもしないで、ずっと今まで逃げてきたんだよ!?」 きっと、彼女達と顔を合わせて話し合うとか、それが叶わないなら徹底的に抵抗するとかもっと道はあったはずだった。しかし、私はこれ以上傷付くことのない一番安楽な道へと逃げた。 「"かほ"は私を暴君達から迷いもせず助けてくれたではないか。それにあの時、虐めなんて最低な奴のやることだって言っていた・・・それがお前の本心だと思う。心の底で小さく燃え上がる闘志と優しき心を持っておる。一歩踏み出せばきっと理不尽にも立ち向かえるはずだ」 プニ太郎は恥ずかしげもなく、堂々と私の目をしっかり見てそう言った。 「そんなの無理だよ・・・わたし本当は弱くて、強がってるだけで・・・」 「すぐに変わらなくても良い、少しずつ踏み出していけばいつかは物事を大きく変える力になるさ。バタフライエフェクトってやつだ、ナウいだろ?」 それはバタフライエフェクトとは違うと思う・・・それにその言葉を使っている時点で今風ではないと思うんだ。 「でも・・・ありがとう」
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