第1章 海からの贈り物

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ー数日後 「うーん、この塩水ちょっと温くないか?それに塩の分量も合ってる?浸透圧が適切では無いような・・・」 水色の粘状生物は塩水の張られた大きめの桶に浸かりながら私に不満を訴えている。 「文句言うなら、熱湯入れるよ」 私が脅迫紛いの言葉を口にすると、プニ太郎は一瞬黙り込んだ後で、納得できないとぶつぶつと文句を呟いていた。 「これで本当に陸上で生活できるの?」 「ああ、一度塩水に浸かれば24時間は陸上で活動可能だ。このプルプルのボディが水分を保ってくれる」 あれから何度か浜辺で会う日を繰り返した後に、プニ太郎は住処の海底に帰るのがめんどくさいと駄々を捏ね始め、そして今のこの状況に至る。 「ふう、良い水じゃ・・・それにしても人間の裸体というのは奇妙な形をしているな。その胸部についた脂肪はなんじゃ・・・って、ぎゃあぁぁぁぁ!!」 「じろじろ見るな!この変態スライム!!」 私の裸を舐め回すように観察するスライムに対して、すかさず風呂のお湯を勢い良くかける。 「何をするこの小娘が!!危うく茹でスライムになるとこじゃったわい!」 目の前で憤怒するスライムを、湯船に浸かりながら見ているこの状況はきっと異常なのだろうけど、今の私にとってはこの非日常が心を癒していた。
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