第1章 海からの贈り物

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「ふう、食べた食べた。ところで"かほ"、明日はどこに連れて行ってくれるんだ」 食事を終えたプニ太郎は、満足そうに深く息を吸うと気楽そうに私に話しかける。 「えっ?そんな約束したっけ。特にどこにも行く予定は無いよ。外は暑いし、家でゲームでもしてた方が有意義よ?」 「どうせ毎日が夏休みじゃないか。ゲームなんて後回しにして、今しか出来ないことをやろう!」 プニ太郎は何も気にしていない様子であっさりと、不登校であることを指摘する。確かにその通りなのだが、面と向かって言われると少し心に響く。 「・・・あなたの遠慮のない暴言に驚いたわ。でも、今しか出来ないことって何よ?」 「うーん・・・青春とか?」 少しの考え込む様に下を向いた後に、顔を唐突に上げると真顔でそう呟いた。 「それは今の私には一番難しいかもね・・・わかった、明日はあなたに関係してそうな場所に行きましょう!」 プニ太郎と一緒に行く場所、それを考えた時にふとある場所が思い浮かんだ。きっとそこはプニ太郎にとっても関わりのある場所。そして、私にとっても・・・。 「私に関係している場所・・・アラブの宮殿とか?」 「そんなわけないでしょ、スライムのあなたがアラブの富豪になっても干物になるだけよ。いいから、楽しみにしといて!」
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