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「ふう、やっと着いたわね・・・って、なに昇天してんの」
ようやく階段を登り切って、ふと胸元を見るとプニ太郎が私の腕の中で、少し気持ち良さそうにぐったりとしていた。
「へんじがない。ただのしかばねのようだ」
「自分で返事してるじゃない。ほら、早く起きて!ラクセイ様は目の前よ!」
ほんの少し歩けばそこは切り立った崖で、そこには広大な景色が広がっている。
「ん?おお、これがラクセイ様か・・・っつ!ぐあああ!」
プニ太郎は目を輝かせラクセイ様を羨望の眼差しで見たかと思うと、次の瞬間には顔を苦痛で歪めていた。
「えっ、どうしたのプニ太郎。だ、大丈夫?」
「な、なんでもない!少し暑さにダウンしただけだ!」
プニ太郎は直ぐに表情を笑顔に戻すとそう話した。でも、さっきのあれは明らかに何かを感じた顔だった。もしかしたら、プニ太郎とラクセイ様の間には本当に何らかの関わりがあるのかもしれない。
「なあ、ラクセイ様にもう少し近寄ってみないか?」
「えっ?近寄って大丈夫なの?無理しない方が良いんじゃ・・・」
「大丈夫だから言ってんだ。少し確かめたいことがある、ほら行くぞ!」
プニ太郎は私の腕の中から地面へ飛び降りると、少し這った先で後ろを向いて私にそう言った。その時の表情は普段のプニ太郎よりも少し真剣で困惑してるようにも見えた。
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