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「・・・って、今度はなんなの・・・!?」
突然目の前の空間が大きく揺らぎ始め、楕円状に回転していく。その中心からは、既に蛸のような触手をもつグロテスクな顔が見えている。その顔は私にとって、親しみのある顔だった。
「あれは・・・Traveler!?」
蒼井空と名乗る少年が驚いたように声をあげる。Travelerって、確かセントラルタワーを造り出した地球外生命体の総称だったような・・・。でも、それは違う。あれはプニ太郎だ。私の大事な友達。
「・・・プニ太郎・・・なんでここに・・・」
プニ太郎は遂にその全身を私達の視界に映した。その姿は以前のプニ太郎とは大きく違っていて、もはや名前の由来である、ぷにぷにした部分などその体には存在しない。体は、滑らかな曲線を描く部分と、海に棲むフジツボのような独特の形をした硬質な部分とが組合わさった特異な姿をしている。
「プニ太郎・・・」
3つの目を淡く黄色に光らせながら、プニ太郎はこちらに迫ってくる。周りで驚愕している愚かな人々など気にもかけないように一歩ずつゆっくりと歩く様は、神話に登場するポセイドンやクラーケンといった神や怪物のそれに近しい様相だった。
「フォックス1からVolpeへ。Travelerの出現を確認した。至急ミオソティスを転送してくれ!!」
蒼井空は耳に手を当てて、何やら誰かと会話しているようだ。でも、それがプニ太郎にとって良くないことだと言うのは文脈から理解できた。
「あなたプニ太郎に何をする気?」
私は少年を睨み付け、その意図を伺う。
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