第1章 海からの贈り物

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「たぶん、ここを行けばラクセイ様の直ぐ近くに着く筈だけど・・・」 私達は祠のあった小山から麓に下ると、ラクセイ様の元へ向かうべく舗装のされていない自然そのままの森を歩いている。 「・・・」 その間プニ太郎は普段のようにふざけることもなく、殆ど話さず何かを考えているようだった。 「ちょっと!何か反応してよ!こんな森の中で一人でいるみたいで怖いじゃない!」 「・・・怖いのか?なら、ここで私の深海的恐怖体験(実録)を話してやろう。あれは、どんよりとした海の風が吹く日だった・・・」 「余計に怖いわよ!それに深海的恐怖って何よ!スライムが目の前にいる方が・・・!」 「しっ、静かに!近くに誰かいる」 唐突にプニ太郎は私の顔に飛び付いて、その口を塞ぐ。 (ちょ!?粘液が口に入ってる!・・・あれ?これって、どんな触手プレイ?) 突然のプニ太郎の行動に驚きながら、とりとめのないことを考えていると、確かに前方から何かが歩いている音が微かに聞こえる。 「かほ、木に隠れながら少しづつゆっくり進んでくれ」 「むっー!むっー!(お前の触手のせいで喋れないんだっての!)」 「ああ、ごめん。口を塞いだままだったか」 プニ太郎は触手を縮めると、そのまま私の腕の中にストンと収まった。
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