第1章 海からの贈り物

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「ここは・・・例の崖か?」 「そう、私が彼女達に突き落とされた崖・・・何も無ければラクセイ様が良く見えて素敵な所なんだけどね」 私達の目の前に広がるのは、あの時の崖。その景色は1年前から何も変わっていない。入道雲が浮かぶ眩しいくらいの青空はとても夏らしくて綺麗で、私はそれに吸い込まれるようにゆっくりと崖のすぐ手前まで歩く。 「確かに綺麗な景色だ。ここからなら花火も綺麗に見えるんだろうな」 「こんなに綺麗な場所なのに、逃げ出したくなっちゃうよ。あれから一年経つし、もう平気かなって思ったんだけど・・・」 自分の意思とは関係なく勝手に涙が溢れてくる。ここで私は本当なら死んでいた、その恐怖と共に彼女達の悪意に満ちた笑い声が頭の中を幾度も巡る。強烈な吐き気と共に目眩がして、私はその場に座り込む。 「かほ・・・」 「あの時私はどうすれば良かったんだろうって良く考えるんだ・・・私が里美の気持ちに気付いていれば皆と今も友達でいられた?私の鈍感が招いた自業自得?最初から一人ならこんな気持ち味わうことなんてなかった?・・・わからないよ、私には・・・」 私は惨めに嗚咽しながら崖の向こうにいるラクセイ様に投げ掛けるように泣き叫ぶ。返答は帰ってくるはずもなく、自分の声が木霊として返ってきては何度も自分の心を突き刺す。どの行動が正解でどれが間違いだったのか、あの日から何度も海を見ながら考えていた。幾ら考えようとも全てが間違いだったように思えてしまって、自分の生きる意味さえ無意味に思えて、それでも死ぬこともなくただ惰性で生きている自分が情けなかった。
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