第1章 海からの贈り物

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「プニ太郎にはいつも助けられてばかりだね・・・でも、やっぱりこのままじゃ駄目。私、里美と直接話して自分の気持ちに決着つけてくる!」 私はいつまでも里美の影に怯えて生きていたくない。この大好きな土地で、大切な友達と一緒に新しい思い出を作るんだ。里美達には絶対邪魔させない、ここで決着をつけてやる。 「・・・!そうか、少し心配だけどその顔ならきっと大丈夫だ。夏帆なら乗り越えられると信じてるよ」 プニ太郎は一瞬驚いたような顔を見せた後に、優しく微笑んだ。 「さあ行こうプニ太郎!じめじめした今日はもうお仕舞い!明日からは本当の私に戻るんだから!」 私はプニ太郎の手に当たる部分を掴むと、そのまま勢い良く走り出した。大丈夫、きっと大丈夫!私だけでは乗り越えられないことも不思議な姿をした友達と一緒なら乗り越えられる! 「うおっ!!手が!手がもげる!」 「ふふっ!これなら痛くないんじゃない」 私はプニ太郎を抱き抱えると、そのまま強く抱き締める。 「まあ、これなら・・・って、これはこれで恥ずかしいよ!」 「これくらいいいでしょ・・・あっ!あっちに白い狐がいる!」 「本当だ、白い狐なんて珍しいね・・・あ、夏帆に抱えてもらってると結構楽だな」 木々の影から白色の狐がこちらをじっと眺めていたが、私達は殆どそれに気を取られることはなく、そのままバス停に向かって走り出した。
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