第2章 殺戮者

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ああ、前にもこんなことあったなあ。私は振り下ろされる鉄パイプを見ながらそんなことを思っていた。 (確か、あの時もこんな感じだったよね・・・) 夏祭りの日、里美から理不尽にも崖から落とされた。どうにか崖に捕まって必死に恐怖と戦って必死に足掻いて・・・そして、落ちた。 (結局私は何も変わらなかったのかな・・・いつまでも弱いままの私だったのかな・・・) ふとプニ太郎の方を見ると、ゆっくりと崖の方へと向かって這っていくのが見えた。 (ああ、良かった・・・プニ太郎が逃げられただけで、プニ太郎が生きているだけで・・・もうそれだけで十分だよ・・・) プニ太郎は時折痙攣しながら、それでもどこか必死に崖へと向かっている。崖の先は海に続いている。私が落ちれば助からないけど、海の支配者らしいプニ太郎ならきっと大丈夫。 (ありがとう・・・プニ太郎・・・あなたに出逢えて良かった・・・) たぶんあと一回でも鉄パイプが体にめり込めば私はこの短い生涯を終えるだろう。霞む視界の中で最後に見たのは崖に飲み込まれるように落ちていくプニ太郎の姿だった。
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